心の状態と関わり(不登校が日常に②)

〈心の状態〉
心がゆっくり休まってくると、じっとしている事が苦痛になってきます。
それまでは、じっとしている事が楽だったし、それ以外の事はあまりできなかったかもしれません。

その状態から脱すると心は、じっとしてられなくなってきます。
「ひま」とか、「やる事がない」と思う時期です。

暇であったり、やる事がない状態が苦痛となっていて、これは心が極度の疲弊状態から脱した証拠です。

とは言え、まだまだ「しなきゃいけない」事はほとんどできません。
また、外の人、友達や外の大人にもあまり会いたがらないかもしれません。
それでも少しずつですが、安全だと思う友達や外の大人とは接触を望むようになってきます。

【不登校が日常に①】の乳児期の心から、幼児期の心へと回復しています。

 

 

〈関わり〉
ここまで来ると、まずは一安心です。
それは今まで、ちゃんと疲弊した心を癒せていた、方法や方向性は間違っていなかったという事。

そして、心身の危機的状況をとりあえず脱したという意味で、「もう大丈夫」という意味ではありません。

 

この時期はやりたい事しかしません。
相変わらず、昼夜逆転しているかもしれませんし、ゲームや携帯ばかりいじっているかもしれません。

周りから見ると、ダラダラしているように見える時期かもしれません。

難しいでしょうが、普段注意している事を言いたいのを少し我慢して、できれば大目に見て欲しい時期です。

この時期、何か建設的な事をするよう提案してもまずできません。

ただ、少しずつ家の中の事頼んでみても良いかもしれません。

例えば、お風呂掃除とか、朝ごはんの後の洗い物とか、洗濯物の取り込みとか、リビングに掃除機をかけておくとか、ご飯を炊いておいてもらうとか。

ここで気をつけて欲しいのが、たくさんの事を頼まない、一個か二個にしておく事と、できたらやっておいてと、やらなくても良いという逃げ場を作っておく事です。

ですから、もしやっていなくても「そうなんだね。いいよ」くらいで、止めて下さい。

意外と本人は心の中で、言われた事をしなかった事を自分で責めています。

一度こういう状態になるとどうしても、義務や責任に対する拒否反応は強くなります。
上から強く言うのではなく、まるで職場の同僚や友達に何かを頼むように、相手の意思を尊重して伝えてください。

職場の同僚や友達にものを頼む時、相手には断る選択肢があるはずです。
それは相手の意思を尊重する行為であり、「腫れものに触るように接する」とは違います。

そして今、幼児期の心だとご理解下さい。

幼児期、たくさんの事はできません。
そして、できた時ややった時、同僚や友達に伝えるよう、ちゃんと伝えて欲しいのです。

「ありがとう」とか、「助かったよ」等。

できて当然というのは間違っています。
元気な時であれば当然かもしれませんが、子どもさんはそういった「できて当然」と思う事さえできないほど、ダメージを受けているのです。

そして、「できて当然」と思っていることが、今の自分にできない事に傷ついています。

だから、「よくできたね」等という言葉かけは避けた方がいいかもしれません。

 

実際に親御さんからそう言われてムカついたという話を、何人かから聞いた事があります。
とても屈辱的だった、バカにされたと感じたと。

この状態になったご本人は、自分は無力であったり役に立てていない事とか、負担をかけている事で自分を責めていて、自信をなくしている可能性があります。

本当は、年齢なりの思考も能力を持っているのですから、幼児扱いをされるのは屈辱的だと思って自然です。

ですから、幼児期くらいの事しかできない状態である事を理解した上で、ちゃんと年齢なりの扱い、(気持ちを尊重したり、年齢的に当然できる事を過大評価しない事)する事をお勧め致します。

この時期から、「あなたはどうしたいの?」という問いかけを意識してみて下さい。

この時期からこの言葉は、子どもさんに許可を与えるための問いかけではなく、子どもさん自身が自分の人生を念頭に全ての事を決定していくための問いかけです。

ですから、その子どもさんがこうしたいという事を聞いても、「いいよ」という許可から、「あなたの人生だからあなたの意思で決めるもの」という「自己責任」の意識を子どもさん自身に着けていく必要があります。

親御さんがいつまでも許可してあげていると、絶対ではありませんが、いつまでもひどい時は一生、その意識は着かない可能性があります。

難しいかもしれませんが、子どもさんはもう、心が癒えていくと同時に、成長し始めています。
親御さん自身も、少しずつ少しずつ子どもさんを大人として扱う段階を、踏んで行ってください。

 

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