第14話 若葉のころ

早いもので、二人が産まれて四度目の夏を迎えました。その間に、さらに男の子をもう一人、自然妊娠で奇跡的に授かり、私達は三人の子供の親となりました。
今年、上の双子は幼稚園へ入園し、毎日元気に通っています。そして、私は下の男の子を自転車に乗せ、よく公園へ出かけます。
若葉が芽吹く公園で、友達と元気に遊ぶわが子を微笑ましく眺めている中、私は時折子供のいなかった時の事を思い出します。

おもちゃもオムツもない、整然と片付けられた部屋の中で、子供の笑い声も泣き声も聞こえない。
子供がじゃれてくることもなく、ただ二人この空間の中にいる私達の姿…。

そんな風に考えてみると、日常の忙しさの中忘れかけていた大切なことを思い出すのです。

それは、子育て中のどんな悩みより、子供ができない苦しみの方がはるかに辛いという事。
私たちにも苦しみ涙を流した時代があったという事。
そして、子供が無事に産まれるという事は、どんなにありがたく、幸せなことか―これだけは決して忘れてはならないと思っています。

最後にもう一つ。私が子育てを通して、気がついたことがあります。

それは、子供は決して厄介な動物ではなく、私たち親に無限のエネルギーを与え、人の心を和ませる力を持つ存在だということ。
しかしそれは、子供たちを授かり産まれるまで、様々な壁を乗り越えてきたからこそ、分かったことかもしれませんが…。

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