最終話 あとがき

今、私達夫婦はやっと授かった三人の子供達に囲まれて生活できる様になりました。
以前の妻は、常に、世間の無神経な言葉に過敏に反応していました。
それでも普段は気丈に振舞い、私と二人だけになるといつも涙を流していました。本当に辛かったと思います。

「あなた達は子供がいないから親の気持ちはわからない。」

という言葉は、夫である私をも苦しめました。
世の中にはきっと、世間の無責任な一言で私達と同じ様な思いをしている方々がたくさんいると思います。
しかし、周囲が気を使わない等と世間を責めてばかりで、後ばかりを見ていても何も変わらないのです。
少しでも可能性があるのであれば、諦めないで前に向かって突き進んでいく事の方が大事だと私達は気が付きました。

「奇跡は必ず起こる!」

なんて断言は、勿論できませんが、万が一でもその「奇跡」と呼べるに等しいものが、もしかしたらあるかもしれません。
諦めたら、その万が一すらもなくなってしまうのです。
今、私達の子供は、親である私達の都合で生まれてきました。

最近思うのですが、妊娠は親の満足の為にあるのではなく、育児をする為にあるのではないでしょうか。
望んで生んだからには当然責任を持って育てる義務があります。
私達は多くを望んではいません。物事の善し悪しの判断ができ、のびのびと健康に育っていって幸せになる事。ただそれだけを常日頃から心掛けて育てています。

いつの日かきっと、子供たちがこの本を読む時がくるでしょう。その時、子供達がどう思うかはわかりません。
しかし、世間の様々な意見等、気にせず堂々と胸を張って生きていってくれると信じています。

私達夫婦における、子育ての原点。
それは「不妊」です。
これだけは間違いありません。
この気持ちを忘れる事なく、これからも妻と共に、一生懸命子供を育てていこうと思います。

最後に、この拙い私達の体験談が、不妊で悩んでいる方々に対し、少しでも気持ちの支えになれれば幸いだと思います。

早川 英之 拝

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